「有給休暇取得義務化」とはどんな内容?
「有給休暇取得義務化」の内容と対象者は?

2019年4月1日から実施される「有給休暇取得義務化」とは、年間10日以上の有休があるすべての労働者には会社側が最低5日の有休を消化させなければいけません。
これには「正社員」だけが対象ではなく、一定の条件を満たした「契約社員」や「パート・アルバイト」も含まれます。
・入社後6か月が経過している週30時間以上勤務の「パート・アルバイト」
・入社後3年半以上経過している週4日出勤の「パート・アルバイト」
・入社後5年半以上経過している週3日出勤の「パート・アルバイト」
「有給休暇取得義務化」で影響がある業種は?

「有給休暇取得義務化」により影響がある業種は有給休暇をあまりとらない労働者がいる職場全てに影響があります。
特に不規則な勤務シフトとなるサービス業(ホテルや旅館)、接客業または病院などにおいては「有休義務化」により新たに人員が必要となる事でしょう。
またアルバイトやパートを多く雇っている飲食店、小売りなどの業種では、これまでアルバイトやパートが有給休暇を使ってなかった場合は、この「義務化」により大きな影響がでると思います。
「有休義務化」により、通常(平日9時~18時)勤務の会社ももちろん影響があるのは言うまでもありません。
日本の有休取得率は世界的に見ても最低レベル?

厚生労働省の2018年調査によりますと、民間企業の労働者に与えられた年次有休は1人あたり平均18.2日で、実際に取得したのは約半分の9.3日だそうです。
2018年有休取得率の51.1%という数字はは1998年以来20年ぶりの高水準だそうですが、世界の国別取得率と比べると、なんと日本は最下位だそうです。
日本人から見ると有給休暇取得率51.1%はかなり「高い」取得率と思われますが、世界的にみるとやはり「働きすぎ」なのでしょう。
なぜ日本の有休取得率は低い?

日本の有給休暇の取得率の低さの原因は、やはり日本独自の「教育」と「文化」にあるみたいです。
日本では「休む」イコール「罪悪感」につながる風潮がまだまだ根付いているようで、これが1番の原因になっているみたいです。
この風潮は戦後、高度成長期に培われた企業文化的なものなのでそう簡単に変わるものではないのではないでしょうか。
「有給休暇取得義務化」を遵守しないとどうなる?
「有休取得義務化」を守らない企業・会社には?

昨年可決した「働き方改革関連法案」によって労働基準法の一部が改正されるためで、守らない会社には違法行為として刑事罰が与えられることになります。
・労働者には刑事罰は無し
※労働者1名の違反につき「一罪」が成立
→100名の労働者について違反があれば、罰金の最大額は3000万円となります。
経営者(管理者)が取り組むべき問題は?

「有休取得義務化」により法律でも、有給休暇管理簿の作成を義務付けられました。
経営者(管理者)はこの管理簿を使用して、労働者に有給休暇を取るように促したり、有給休暇の時季を指定していく必要があります。
また、有給休暇を取りやすい雰囲気づくりや、有給休暇取得率が従業者の評価項目と関係しないという説明をするといいでしょう。
従業者側が取り組むべき問題は?

従業員側は、有給休暇を取得するだけなので特別に取り組む問題はありません。
ただ、職場に有給休暇を取得しにくい雰囲気があるような場合は、この機会に皆で話し合ってみてはいかがでしょうか。
「有休取得義務化」は年間10日以上有給休暇がある従業者全員に公平に与えられる法律なので、法改正を機に従業員の「意識」を変えるチャンスでもあります。
ブラックな企業ではごまかしに注意!
「有給休暇取得義務化」を既存休暇とすり替えることも?

「有休取得義務化」が施行されたあとで、ブラックな企業などでは既存の「休暇」を有給休暇にすり替える手口に注意しましょう。
その手口とはこれまで、年次有給休暇とは別に正月・夏季休暇を与えていたにもかかわらず、その日を年次有給休暇にすり替え、義務となる5日を消化させるやり方です。
これは労働条件の不利益変更となりますので、もし、あなたが勤める会社が「ブラック」の疑いがある場合はしっかり見るようにしましょう。
不利益変更があった場合、有給休暇を5日与える義務を果たしていないことになり、その企業は刑事罰を科せられることになります。
これまで「休日」だったところを労働日に変更し、そこに有給休暇を充てることも同様に不利益変更となります。
従業者はどこに通報すればいい?

「有休取得義務化」を企業が遵守しない場合、従業者は労働基準監督署に通報することになります。
労働基準監督署はネットなどで検索できますが、あなたの勤務する会社を管轄する労働基準監督署がわからない場合、都道府県の本署に問い合わせてみるのもいいでしょう。
余談ですが、労働基準監督官は、労働基準法については司法警察員(警察官や麻薬取締官など、捜査や逮捕などを行う資格のある公務員)と同じ立場であります。
まとめ
いかがでしたか。今回は有給休暇義務化とは?遵守しない企業には罰金がある?についてふれてみました。
「有給休暇取得義務化」が施行されたからと言って、有給休暇取得率が一気に飛躍するとは考えられません。
やはり経営者(管理者)と従業者の相互努力が必要であるのではないでしょうか。