勤怠不良社員に対する会社側の対応は?
面談により勤怠不良の理由を本人から確認する
会社側は遅刻や欠勤などを繰り返す勤怠不良の社員に対して、その理由を本人に確認する必要があります。
その理由が個人の事情に関することであったり、単にやる気が足りないといった内容であったりといった場合には、注意指導、懲戒処分といった流れになります。
もし、業務上の災害によるものであるといった場合には労災となり従業員の責任追及をすることはできません。
また、パワハラやセクハラなどのハラスメントを訴える場合は、会社としては直ちに社内調査をしなければなりません。
近年急激に増えつつある「精神疾患」などによる理由の場合、会社側は本人に医師の診断書を取ってもらうように指導しましょう。
個人の理由の場合、まずは書面による「注意」を
社内の秩序を守る意味でも、会社側は遅刻や当日欠勤などを繰り返す社員に対してその都度注意をする必要があります。
注意の方法としては「口頭注意」という方法がありますが、証拠となるようになるべく「書面」での注意をお勧めいたします。
また対象となる人へは、これが改善されない場合は懲戒処分とする可能性があることも伝えるようにしてください。
改善されない場合は「懲戒処分」を発令する
懲戒処分を行う前に、会社にある就業規則のどの事由にあたるかを確認してください。
就業規則に懲戒事由の定めがない場合は懲戒処分を行うことはできません。
一般的に懲戒処分の重さは「戒告」<「けん責」<「減給」<「出勤停止」といった順序です。
再三の注意にも関わらず、勤怠不良が改善されない場合は「戒告」か「けん責」処分とし、それでも問題が解決しない場合は「減給」または「出勤停止」といった思い内容となります。
このように採算の注意・懲戒によっても改善されない場合のみ「懲戒解雇」が認められるのであって、プロセス無くして突然の「懲戒解雇」は認められるわけではありません。
懲戒処分のテンプレートは下記URLをご参照ください。
勤怠不良の社員は解雇可能?
労働者が有する権利は「賃金請求権」のみ?
一般的に雇用契約において労働者は、会社に対して「賃金請求権」という権利を有しています。
その反面、労働者は会社に対して「労務提供義務」という義務を負っています。
つまり、簡単に説明すると、労働者は「欠勤する権利」を持っているわけではありません。
極端な例えとして、労働者は出社が難しいほどの重病になったとしても、「会社に認めてもらって(許可をいただいて)」はじめて「欠勤」が許されるわけです。
労働者は「労務提供義務」を負っているという意味がこれでお判りになりましたね。
どのレベルになれば解雇の対象に?
遅刻・欠勤を繰り返す勤怠不良社員に対し、会社が解雇を検討する場合とは、個別面談、注意指導、懲戒処分を行っても全く改善されない場合が対象になります。
対象となる社員をどうしても解雇したい場合には、以下の点に十分注意して慎重に進める必要があります。
・年間の出勤率が8割を超えている場合は解雇すべきではありません。
・精神疾患や大病による長期欠勤者は解雇そべきではありません。
解雇の種類は?
勤怠不良の社員が注意や戒告にも関わらず、改善
されなかったとしてもそれは「懲戒解雇」とすべき性質の行為ではありません。
懲戒解雇は、企業秩序違反の行為に対して制裁としてその最も厳しい行為であるからです。
勤怠不良の社員を解雇をする場合には、出退勤不良の繰り返しによって、会社と社員との信頼関係が崩れたことを理由とする「普通解雇」とすべきではないでしょうか。
会社側のNG対応と適切な対応について
会社側の3つのNGは?
勤怠不良の問題社員に対して、会社側のNG対応は主に下記3点です。
・出退勤不良の原因を確認せずに処分を決める。
・本人に全く何の対応も行わない。
会社側の適切な対応は?
会社側の適切な対応は、このような流れが求められます。
仮に、訴訟や労働審判などの紛争になった場合のために、会社側はすべてのプロセスにおいてそれを証明できる「証拠」を残すようにしてください。
繰り返しになりますが、勤怠不良社員は問題社員と決めつけて対応を進める前に、遅刻・欠勤などの原因を社員に直接聞くなどして「正確な情報」を把握する必要があります。
それがもし、病気が原因となる場合には会社としては「休職命令」を発令するなど、ここで説明した内容とは異なった対応になります。
また、勤怠不良が本人の原因ではなく、会社が原因となる「労災」の場合、更に慎重な対応が必要であるからです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は勤怠不良の社員は解雇可能?会社がとるべき対応は?についてふれてみました。会社側は勤怠不良社員に対して然るべき手順を踏めば「解雇」が可能だということがわかりました。